ヴァンクリーフ&アーペルの「レコール」参加レポその1
パリにジュエリーの基礎を学べる「レコール」(フランス語で学校の意味)があるのを
ご存知ですか?フランスを代表するハイジュエリーメゾン、ヴァンクリーフ&アーペル
(以下VC&Aと略します)によって創立された教育機関です。
そのレコールが2月23日〜3月8日まで、東京で特別講座を開催していました。
なんとパリ本校から講師が来日し、パリと全く同じ講義内容を体験できる貴重な機会だ
ったのです。
結構な時間が経ってしまったのですが、勝手な使命感からレポートを残して置こうと思
います!
レコールとは?
ヴァンクリーフ&アーペルの支援のもと、2012年にパリ ヴァンドーム広場にて創設されたレコールは、広く一般の方々にジュエリーの世界への扉を開く教育機関です。講義は大きく3つ、「サヴォアフェール〈匠の技〉」「ジュエリーの歴史」「原石の世界」に分類されます。地球の奥底で生まれる貴石の神秘や、フランスの伝統が培った息を呑むような職人技、ジュエリーに関する心躍るような歴史の数々など、魅惑的で奥深いテーマについて、現役のハイジュエリー職人や専門家が指導を行うのが特長です。
(レコール パンフレットより引用)
おもてなしもスマート
会場となった京都造形芸術大学・外苑キャンパスに到着すると、ラウンジのような部屋
に案内されます。そこで授業開始までと休憩時間を過ごすのです。
これがオシャレなカフェのようなしつらえでした。ソファーやテーブルの間に、ジュエ
リーやファッションに関する洋書(一部日本語の書籍も)や写真集が並び、ちょっとし
たライブラリーのよう。パラパラと眺めていると講義への期待感が増していきます。
リフレッシュメント・ビュッフェが用意されているとは聞いていましたが、これは特に
午前中のクラスを受ける前には嬉しいサービスです。パン・オ・ショコラやフィンガー
フード、プチフールにチョコレート、飲み物はコーヒー、紅茶、フレッシュジュースな
どを自由にいただくことができます。
朝からピエール・エルメのチョコを頬張るというプチ贅沢を味わいました。
部屋には徐々にパリから来た講師達も集まり、あちらこちらからフランス語が聞こえ、
テンションも上がります。
参加者は想像通り女性が9割。“アルハンブラ”ネックレスに、“バーキン”を持ったいか
にもVC&Aの顧客っぽいマダムもいれば、デニムにスニーカーの大学生っぽい人まで、
意外と様々でした。
講義は集中して
私が受講したのは「ヴァンクリーフ&アーペルの世界に入り込む」というクラスです。
途中休憩はあるものの、授業は4時間!長いけど大丈夫かな?と思いつつ教室へ。
講師は女性と男性の2人。講義は英語で行われました。日本人の通訳の方が2人いたので
正直ホッとしました。英語に4時間も集中できるのか、そして理解できるのか、非常に
不安でしたので。
講師の2人は大学で美術史の学位を取得しており、ヴィンテージジュエリーが専門との
ことでした。(製造されてから25〜100年未満のものをヴィンテージ、製造されて100年
以上経過したものをアンティークと呼びます。)2人とも笑顔がチャーミングで、とて
もフレンドリー。授業中、生徒たちはみんな真剣そのものでしたが、2人のおかげで堅
苦しい雰囲気はありませんでした。
ヴァンクリーフ&アーペルの真髄に触れる
授業内容は大きく分けて3つ。
1. VC&A創業者の歴史と家系について
2. インスピレーションの源、7つのテーマについて
・ファウナ(動物)
・フローラ(花)
・アストロノミー(天文学:星、月などの惑星)
・空想の世界(妖精など)
・世界の旅を夢見る(中国、インド、エジプト、日本など)
・クチュール(リボン、レース、ボタン、ジップなど)
・ダンス(バレリーナコレクション)
- 4つの最高傑作について
・メカニズム(トランスフォーメーション)
・ジップコレクション
・ミステリーセッティング
・ミノディエール(リップやコンパクトなどを入れる小さなケース)
画像や動画を見ながら、先生が説明してくださるのですが、それぞれのジュエリーの豊
かな色彩、発想の自由さ、動きの感じられる作りはさすがグランメゾン!と感心しき
り。
例えば1942年、創業者であるアーペル家がバレエ好きだったことから誕生したバレリー
ナコレクション。ニューヨーク・シティー・バレエ団を設立した振付家ヴァランシンと
の出会いが大きく影響したそうです。1967年には「ジュエルズ」というバレエ作品が誕
生しました。エメラルド、ルビー、ダイヤモンド、3つの宝石がバレエで表現されたの
です。VC&Aでは現在まで、バレリーナの衣装やポージングを少しずつアップデートし
ながら、シグネチャーコレクションとして作り続けています。
18世紀に活躍したバレエダンサー、マリー・カマルゴを描いた絵を元に、1940年代に作
られた作品。
顔の部分はローズカットダイヤモンドを使うのがお決まりとのこと。
ただ美しいとか贅沢なだけではない。一つ一つのジュエリーに物語がある。それがさら
に人を惹きつけるのですね。
1と2に関して興味を持った方はVC&Aの公式ウェブサイトをぜひご覧になることをオス
スメします。
https://www.vancleefarpels.com/jp/ja.html
構成は異なりますが、授業内容と重なる内容も多かったですし、読み応え、見応え共に
十分あります。
そして授業のハイライト、実物のジュエリーを見ながらの解説は一番インパクトが強
く、ハイジュエリーの持つ凄みにシビレました。
この続きは参加レポその2でご紹介します。どうぞお楽しみに!