これは日本刀にハマるよね、と気づいた展覧会 その1
先月、国立新美術館の「トルコ至宝展」そして静嘉堂文庫美術館の「日本刀の華 備前刀展」に行ってきました。
「トルコ至宝展」はオスマン帝国の宝飾品、「備前刀展」は曜変天目茶碗がお目当てだったのに、そこで意外なものに釘付けとなってしまいました。
それは日本刀。“刀女子”なんて言葉まで生まれて、ここ数年大注目されているようですね。
こんな出会いもあるから、美術展って楽しいのです。
こってりゴージャスなトルコ至宝
トプカプ宮殿博物館に所蔵されている、豪華絢爛な宝飾品、衣装、食器、敷物、書物などが展示されていました。
一番の見所は最初の部屋、宝石をふんだんに散りばめたスルタンの装身具でしょうね。柄の部分が1つのエメラルドでできた短剣は、あまりの石の大きさにのけぞりました。
ルビー、エメラルド、フラットなダイヤモンドを多用した有機的なデザイン、エナメルによる着彩には、インドのムガール帝国の影響を感じました。
全体にこってりゴージャス感が強いのです。
これはこれで、エキゾチックでおおらかな華やかさがあって、楽しめました。
日本刀との遭遇
トルコは親日国としても知られています。最後の部屋はトルコと日本の交流をテーマに、トルコに友好の証として送られた、明治期の日本美術品が並んでいました。
有田焼の壺や七宝の花瓶を見たらなぜかホッとしてしまうのは、私が日本人だからでしょうか。
そして日本刀の前に立った瞬間、視線を外せなくなったのです。
そこだけ静謐でちょっと張り詰めたようなオーラに包まれていました。
ゆるく弧を描く鋭い刃の形、鞘に施された金細工、柄に巻かれた紐、
どれも精緻で一分の狂いもありません。
一言で言えば“端正”なのですね。
トルコのきらびやかだけどちょっとおおざっぱな作りの装身具を見続けた後だったから、余計に日本の作品が新鮮に映ったのかもしれません。
中でも不思議と見惚れてしまったのが刀だったのです。
トルコの宝飾刀剣って、
光沢のあるシルクのシャツをラフに着て、トワレの香りを漂わせる、
無精ひげの北村一輝、っていうイメージ。(すごい妄想です)
かたや日本の金太刀は、
ビシッとアイロンのかかったコットンの白シャツを着て、涼しげな目をした
かっこいい〜!と周りが騒いでいても関心のもてなかったイケメンと、
道端で偶然ぶつかって、至近距離で目があった瞬間恋に落ちる……。
私にとって日本刀との遭遇は、そんな少女漫画みたいなシチュエーションでした。
(想像力たくましすぎ!)
気になった方へ
オスマン帝国の美意識に触れたい方、まだチャンスはあります。
東京の展覧会は終了しましたが、6月14日から京都国立近代美術館での会期が始まります。
スルタンの織物の柄は日本の着物の古典柄を思い起こさせますし、
アラビア文字による署名(トゥーラ)や、美しい書道の手習い本もあって、
どこか親しみを覚える作品もあります。
女性ならきっとキュンとなる可愛さの「七宝製バラ水入れ」もぜひ見ていただきたいです!
そして、さらに日本刀の魅力に開眼することになった展覧会については次回に続きます。
ここまで読んでくださってありがとうございました!